やっぱり試験に出ない石川県・富山県

画像富山から普通列車で1時間あまり。本来の目的地である金沢に着きました。
いやぁ~……何だ、この到着の遅さは? もう夕方3時ってかい。「本来の目的地」が当初の目的地に成り下がり、「ついで」のはずの富山がメインになってる感は否めないぞ。
そして、何だ!? この駅前広場の巨大オブジェは。
門か? 門なのか? 門でいいのか?
して、この太い柱のモチーフは篝火か? それとも鼓か?
……え~……『鼓門』と云うらしいです。全面ガラス張りの巨大ドームとともに、加賀百万石の中心・金沢の玄関口を象徴するランドマークだそうで。
……まぁいいや。とりあえずホテルにチェックインして、日本三大名園の兼六園を目指そうじゃないか。見たかった雪吊りの松を思う存分見ようじゃないか――雪なんかひとっっっっっつもありゃしないけど。


「あぅ……」
遅かりし由良介。
せっかく兼六園の前まで来たものの、兼六園も向かいの金沢城も、冬季間は夕方4時にて閉門。
して、今の時間は夕方3時50分。
10分で何見ろってさ……
そういった訳で、兼六園も金沢城も明日に回す事に。
とりあえず下見に来たって事でいいよね?
(観光の下見って何だよ……)
で、この時間からでも見て回れる場所という事で(主だった所は、やっぱり4時までなんですよね)、ひがし茶屋町へとやって来ました。
画像金沢には、「ひがし」「主計(かずえ)町」「にし」の三つの茶屋町が存在します。
茶屋町とは、いわゆる廓街。
廓というと時代劇の影響か、どうしても江戸・吉原のような遊女遊びの店を想像してしまいがちですが、金沢のソレは、どちらかというと京都・祇園に近いもの。「芸は売っても身は売らない」が信条。
江戸期から昭和の代に至るまで、数多くのお茶屋さんが軒を並べ、訪れる客は華やかな座敷遊びで一時を過ごし、浮世の憂さを晴らしたんだとか。
お茶屋遊びといっても、武家や大店の主人といった特別な人の為だった訳じゃなく、加賀友禅や輪島塗の職人であるとか、ごくごく一般階級の人たちが遊びに来ていたんだとか。
そうは申しましても芸妓遊び。
琴や三弦(三味線)、舞踊、謡曲、茶の湯から和歌、俳諧に及ぶものでして、客も芸妓も巾広く高い教養と技能が要求されたそうですから、やっぱり一般庶民には敷居の高い場ではあったようです。
残念ながら、今でもお茶屋を営んでる店はありませんが、格子戸と大戸、二階の造りが高い典型的なお茶屋・町屋の建物が並ぶ街並は健在で、昔の建物そのままに営業する喫茶店や土産物屋がズラリと軒を並べています。夕闇が迫ると、瓦斯燈に灯が点り、家々の軒先に外灯代わりの提灯が並ぶ様は何とも風情があります。
お茶屋の華やいだ雰囲気を今に伝えているのが『志摩』『懐華楼』の2軒。それぞれ老舗のお茶屋でしたが、今は観光スポットとして内部を一般公開しています。
そのうちの『志摩』を覗いてみました。
文政3(1820)年に建てられたと云いますから、築180年以上は経っている訳です。その格式と風情は、ぐっと胸に来るものがあります。
玄関先、下駄箱の横に
「裸足のお客様、濡れた靴下をお履きのお客様は、こちらにお履き替えください」
と靴下が用意されていたのには驚きましたが、「こうでもしなきゃ、昔からの建物は守れないのかな」とも思いました。何分にも国の重要文化財ですから。
……ん? 富山の『森家』はそこまでしてなかったぞ? 同じ重文なのに。
まぁ、建てられた年代が大きく違いますからね。
1階は勧進場で、2階に三間続きの座敷のある客間。
中央の「なかの間」は廊下代わりに使われていた部屋で、この両脇に座敷が続きます。廊下の代わりに六畳間を充てるなんざ、考える事が違うなぁ~。
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ベンガラ色に彩られた座敷。床の間を背に座ると、正面には控えの間の襖。この襖がスッと開くと、金屏風を背にした芸妓さんが華麗な芸を披露するといった仕組み。襖が緞帳替わりなんですねぇ。
浮世離れした艶やかな空間は、現世を忘れ刹那の夢を愉しむのにぴったりですね。
渡り廊下を渡った奥の間に、当時の芸妓さんが使った櫛やかんざし、給仕に使われた食器の数々が展示されています。
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べっ甲や金細工がふんだんに使われた櫛やかんざしは、とてもきらびやかな物でしたし、三味線のバチや琴を演奏する時に使う琴爪、当時使われていたキセルなどなど、ちょっとしたところにも贅を凝らしたものばかりでした。
当時使われていた食器類は、さすが金沢、すべて輪島塗で、沈金・蒔絵といった輪島塗独自の技法を惜しみなく施してあります。こんな器で宴を愉しんだんじゃ、そらぁ「邯鄲の夢」と溺れるのも無理らしからぬものです。



何とも落ち着いた和の雰囲気の中にも、絢爛豪華を誇った昔の姿がそこかしこに。
まぁたまには、こういった雰囲気に浸るのもよろしいんじゃないですか。
宵闇迫る中、余韻に浸りながらホテルへと戻る事にします。

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