1泊2日・長州生き地獄ツアー ―第3夜―

画像≪ 宿神様、謀反でござる ≫


本日のお宿は「萩本陣」さん。
松陰神社のお向かい、吾妻山という標高200m足らずの高台の麓にあります。

チェックインを済ませて、施設の説明かたがた、お部屋に案内していただく。
「露天風呂まではモノレールで参ります。ご利用の際はフロントまでお越し下さい。チケットをお渡しします。駅はそちらの角を曲がったところにあります」
あぁ、そうそう。このお山の上に露天風呂があったんでしたねぇ。
「モノレールの最終は9時半になります」
な、何ですと!? あと30分で終わり? そりゃ大変だ。荷物置いたらすぐ行かなきゃ。
「こちら、パブリック施設でございます」
ありゃ? 全部、灯り消えてるよ?
「本日、お休みをいただいております」
……ウッソォ~ン。宿着きゃ何か食えると思ったのにぃ。今日一日、サンドイッチしか食ってないのよ、コッチは。も、食事する間も惜しんで走って来たのに。しょうがね、後でコンビニにでも行こう。
「こちらが内湯『維新の湯』でございます。夜12時まで営業しております」
お。維新の湯とな。
何とも萩という土地柄らしい名前じゃありませんか。高杉晋作・桂小五郎などの維新志士たちも、松下村塾の帰りにひとっ風呂浴びたのかな――なぁんて、その頃はまだ温泉なんて湧いてないか。
「こちら、明日の朝はございません」
は? やってないの? じゃ、明日の朝は風呂ナシ?
「内湯はもう一つございまして、こちら『妙徳温泉』と申します。こちらも夜12時までで、明日の朝は5時半からでございます」
なぁんだ、あんじゃないの。はぁ、びっくりした……て、ちょっと待て。3つも風呂があるのに、朝入れんのは1つだけ? 何とももったいないというか、寂しい話ですなぁ。
案内の方、まだまだずんずん先へ行く。あの……どこまで行かれるんでしょうか?
「こちらでございます」
行き着いた先は、離れというか旧館というか……。いやいや、ボロいわ。やっぱり「じゃらん」の格安パックだと、こういう扱いになるのかしら。
「当館の門限は10時半となっております。では、ゆっくりとおくつろぎ下さい」
ゑ!? 門限、あんの? しかも10時半? 露天風呂行って帰ってきたら終わりじゃん。
メシ……俺の晩メシ……
はは、「ゆっくりおくつろぎ下さい」だって。――くつろげるか!!

気を取り直して、モノレールで露天風呂へ行きましょう――と思ったら、次の便まで15分くらい待たされるとか。旅館の方の御好意で、ワゴン車で送っていただきました。
紅葉谷露天風呂。
山の中腹に湧く、展望露天風呂であります。石鹸・シャンプー使用厳禁。ただつかるだけ――ナメとんか!
萩の街を見下ろす大展望――見えるかい! こんな時間に。普通の街灯りしか見えまへん。つまらん。20点。
掛かり湯をして、岩風呂風の湯船の中、湯の華で滑りやすい石段を一歩一歩ゆっくりと降りて……
うわ! 深っ!!
いきなりタマ下(ま! 下品だわ)……じゃなかった、股下の深さ。コレ、底まで沈んだら、顔ズッポリつかっちゃうよ。
隣にはもう一つ、少し温めの湯船があって……
うわ! さらに深っ!! そして温っ!! ちっとも少しじゃないやん!!
得点、上がらず。相変わらず20点。
ブツクサ文句をたれながらも、それなりに楽しんだ露天風呂を出て、帰りの便を待ってると、やって来ましたモノレ……も、ものれぇ~るぅ~!?
違うやん! おサルのチンチン電車やん! スキー場のゴンドラやん!
小さい箱が2両編成でガタゴトやって来る。空調なんかありません。窓だって開きやしない。
3人掛け対面シートの車両に、僕と太ったオッサンたちで満席。窓がみるみる曇る。そんな状況で下る事10分。露天風呂でダップリ汗を流し、降りるまでにダップリ汗をかいて……。
ねぇ? フザケてるでしょう?
その足で『維新の湯』をハシゴしたのは言うまでもない。


「ここまでの総合得点は……0点」
「そりゃないよ、ガンツ先生……」
――ロボコンかい!


維新の湯。
これはスゴい――あの、いい意味でスゴい。
広い。明るい。タオルは用意されてるので、部屋から持ってくるのはバスタオルだけでいい。大きな湯船とジャグジーバス。熱くもなく温くもない、本当にちょうどいい湯加減。昨今のスーパー銭湯でも見かけなくなった打たせ湯もある。湯疲れした時にちょっと休憩出来る御影石のベンチもある。大きな窓の向こう、箱庭の中では、地名にちなんだハギの葉が優雅に揺れる。
いいですなぁ……。いつまでもこうしてたいですなぁ……。
んー……45点。惜しい。
明日の朝もやってれば、高得点を獲得できたのに。残念。
でも、このお湯は(つーか、この温泉だけは)絶対にオススメです。


こうして、お出迎え用に置いてある茶菓子でムリヤリ腹ごしらえした僕は、ようやっと「満足」という言葉が、壊れかけのネオンサインのように見え隠れするようになったのでした。
翌朝、これで飽き足らない宿神様が、密かな謀反を企てていようなどとは露ほども知らずに――

この記事へのコメント

sora@o
2004年08月16日 19:53
やっぱりゴハン食べられなかったんですねぇ。トコトン打ちのめされてますねぇ。
これは・・・50点満点で採点してるんでしょうか?
いやぁ~、コレ読んでるとひとり旅もいいなぁ~と思いますよ。いや、本当に!
katchi
2004年08月16日 21:14
数年前、混浴で年上のOLさんと一緒になって、楽しいひとときを過ごしました。えぇ、単なる自慢ですとも。
讃岐屋
2004年08月16日 22:40
sora@oさま>いえいえ、当然100点満点ですよ! どんな名宿も、タイミングを逃したらブンブンになるという事を経験した旅でした(泣)

katchiさん>僕も数年前に混浴で、50歳代の素敵なお嬢様方に取り囲まれ、出るに出れなかった経験があります。集団心理の怖さを身を持って知った、若き日の讃岐屋でございました(寒)

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