雨が空から離れたら

(こんなタイトルの曲、ありましたよね?)
え~……見てきました、生ミスターを――じゃなくて、映画『銀色の雨』を。
物語の舞台が、ここ米子周辺という事もあって、先行プレミアム試写会が本日21日、米子コンベンションセンター〝ビッグシップ〟にて開催されました。
まぁ、こういったイベントですからね、最初は主催者や来賓(県知事やら市長やら)の挨拶が続きます。
その後、制作側からという事で、制作プロデューサーの挨拶があり、いよいよ鈴井貴之監督の登場!
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いや、ビックリしました。
たぶん出演者の方々と一緒に登場するもんだと思ってたら(普通、上映前の舞台挨拶ってそういうもんですからね)、一人で登壇されましたよ。
でも、会場から「監督ぅ~!」とか「鈴井さぁ~ん!」とかの声はかからず もちろん「ミスター」コールもナシ。
米子の人はシャイなのか、「こういう場では声をかけちゃいけない」と思っているのか……よもや、「知らない」って事はないよな?(笑)
終始サングラスでね、鈴井さんを知らない人が見たら「うわ! おっかねぇ人が出てきた」(笑)と思うんでしょうが、一旦しゃべり出したら、もう鈴井節全開でした。
鈴井監督曰く、
「この映画は、とにかく地味! 画面は暗いし、これといったドラマもない」
「でも、〝昔懐かしい日本映画が帰ってきた〟と思っています。スタッフからも「大ヒットはしないかもしれないけど、いい映画です」って言われました。でも、それは一番の褒め言葉だと思ってます」
――いい褒め言葉ですね。〝大ヒットはしないけど、いい映画〟って。
最近の映画って、ド派手なアクション物か、CGをバンバン使った作品、女性に流行りの小説を映画化したもの(『セカチュー』とか『恋空』とか)が流行る傾向にありますからね。
〝ヒットする映画〟と〝いい映画〟は必ずしもイコールじゃないのですよ。

引き続いて、出演者の登壇。
主役の高校生・和也を演じた賀来賢人さんは、別の映画の撮影中という事で、メッセージでの出席。
章次役を演じた中村獅童さんも出席の予定でしたが、京都で撮ってるドラマのスケジュールが押した為、ビデオメールでの参加となりました。
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結局、出演者で登壇したのは、菊枝役の前田亜季さんだけ。
あらやだ、可愛いじゃないですか。姉ちゃん(前田愛)より可愛いかったですよ。


この『銀色の雨』は、『man-hole』『river』『銀のエンゼル』に続く鈴井監督4作目の映画ですが、2005年の韓国映画留学から帰国して初めてメガホンを取った作品です。(舞台やドラマなどは撮ってますが)
そして、初の原作付き(過去3作品は鈴井さん自らが原案・脚本を務めてます)、初の北海道以外を舞台にした作品です。
原作は『鉄道員(ぽっぽや)』や『地下鉄(メトロ)に乗って』『壬生義士伝』などで有名な浅田次郎の短編小説ですが、原作とはだいぶテイストが違います。キャラクター設定を少し変えて、人物掘り下げていったら、こうも変わるもんかなぁ~、と。『月のしずく』(文春文庫 刊)という短編集に掲載されてるんで、読んだ方もいるかと思いますが、そのイメージでこの映画を見ると、「え~? 雰囲気、全然違うじゃん」と面食らってしまいます。でも、すぐに「こっちの方が断然いいじゃん!」と感じます。
ハイ、ワタクシがそうでしたから。

映画は鈴井監督がおっしゃるとおり、派手なアクションがある訳じゃありません。ドラマチックな展開がある訳じゃない。ひたすら淡々と物語は進んで行きます。でも、それがかえって「ボディーブローのように(鈴井監督 談)」ビッシビシ心に重く響いてきます。

陸上選手として将来を期待されながら、その重圧に息苦しさを感じ、家出してしまう高校生・和也。
日本チャンピオンにまで上り詰めながら、限界を感じ、引退すべきか悩むボクサー・章次。
和也の姉代わりで、水商売の傍ら、客の来ないネイルサロンを経営する菊枝。
それぞれが心に傷を抱える3人が、ひょんな事で出逢ったのをきっかけに、奇妙な同居生活が始まる――
まるで腫れ物に触るように接してくる周囲への苛立ち。捨てた家族。捨てられた家族。ギクシャクとうまくいかない家族関係。捨ててきたはずの過去なのに、捨て切れないでいる自分に対する情けなさ。
いろいろな感情、様々な心の傷を洗い流すように降り続く雨。
この映画、雨が非常に印象的に、また効果的に使われています。
鈴井監督の言葉を借りれば、「人生、時には雨に降られる時もある。そんな時は雨宿りしたっていいじゃないか。いずれ雨も上がる。そうしたら、また歩き出せばいい」という人生の応援歌。

雨に降られたと思えばいい。
しばらくは気色悪いが
じきに春が来る。
作中、章次の印象的な科白。
(原作では「やがて夏が来る」なんですけど、コッチの方が断然いいですね)
皆さんの人生に、心に、雨は降ってますか?
――ワタクシなんかは、常にどしゃ降りなんですが(笑)



この映画で、2007年M-1グランプリ王者のサンドウィッチマンの2人が銀幕デビューしています。
富澤君が、和也の母親の恋人役を演じているんですが……あらヤダ、結構うまいじゃないですか。和也と何とか打ち解けようと努力するものの、まるっきり無視され、カラ回りする男の悲哀ってんですか? 伝わってきますねぇ。〝起用の妙〟ってんですか? 結構ハマり役でした。
で、伊達君がその親友である電器屋の役。「悪友」だとか「腐れ縁」だとか言いながらも、結構仲良くやってんだろうなぁ~というのが見て取れましたね。これまた〝起用の妙〟です。
これを機に、お笑いだけじゃなく、役者の道にも進むんですかね?
(事実、『ハチワンダイバー』でドラマ出演してましたしね)
それはそれで面白いかも。

和也にウルサく付きまとうストーカー少女(笑)・みのり役に、AKB48の大島優子ちゃん。
ワタクシ、この『みのり』って女の子、苦手です。つーか、生理的に受け付けません。イライラするほどウザったくて。
そんな役を、優子ちゃんは決してイヤミったらしくなく、爽やかに演じてます。それが救いっちゃあ救いですかね。ただの小煩いコだったら、ワタクシ、スクリーンめがけて思いっきり何かブン投げてます――て、そんなに短気な男じゃないですけどね。
この役の少女、可愛いと見るかウルセェガキと見るか――お任せします(笑)
ワタクシは断然後者でしたけど(爆)

章次の先輩で、今は潰れかけのボクシングジムを経営する森尾役に、柳憂怜――はい、あの〝たけし軍団〟の柳ユーレイです。最近、たけしの番組でも見かけないなぁ、と思ってたら、すっかり役者になっちゃってたんですねぇ~。

中村獅童演じる章次がボクサーという事で、ボクシング指導も兼ねて、ボクシングジムの会長役で輪島功一が、トレーナー役で竹原慎二が出ています。なんか二人とも〝演技〟ってよりは〝地〟でやってるみたいでした。
じゃあの。

さて、鈴井監督作品というと、必ずどっかこっかにナックスの面々が出演してるんですけど……今回も出ております。どこに出てるかは、これから見られる方の為に秘密にしておきますが、チョイ役と云うにはあまりにも堂々と出てましたデス。
そして、気になる音尾サンの役どころですが――音尾さんの役は〝おとおさん〟でした。
(コレもシャレですか? 鈴井監督)

その他にも、「あ。あの人も……」という方々が出演されてますから、じっくり捜してみては?
いや、捜すまでもないんですけど(笑)



まだ公開前なんで、あまり「こういうお話だった」「このシーンが感動的だった」って語れないのが心苦しいんですが、それは皆さんが映画館に足を運んで、その目で確かめていただくのが一番です。
ただ、鈴井監督が言うとおり、決してハデではないけれど、昔懐かしい日本映画の匂いがします。ちょっと忘れかけてた人情ドラマというか、小津安二郎とか木下恵介の世界というか――言い過ぎッスか?
確かにですね、スカッとするとか、ジーンと感動しまくるとかいった映画じゃありません。
でも……なんか心に残るんですよね。なんか心にくるんですよね。それが何かはわからないけど、ただ「あ。なんかいい映画だ」って思える映画ではあります。
「も一回見たいな」って思える映画。
現にワタクシ、公開されたらもう一回見に行くつもりでいます。
それは、ワタクシがCUEファンだからとか、鈴井映画のファンだからってのを差っ引いたとしても、もう一回見たくなる映画です。
たぶん、ずっと手元に置いておいて、何かの拍子に――それこそ〝人生の雨宿り〟をしたくなった時に――ふと、「あ。久しぶりに見てみようかな」と思える映画。

モチロン、鈴井映画ですから、笑いどころもいくつかちりばめられてます。といっても、こういうトーンの映画ですから、爆笑ではなくクスッと笑える程度ですけど。
1個だけネタばらししちゃうと、和也が章次に「夕陽が海に沈む時、ジュッて音がするんですよ」って話して、夕陽が沈む瞬間、本当にジュ~ッて音がして、それが実は屋台の焼きそばの音だったとか。
(それすらもスルーされてたのは、こういう映画じゃ笑っちゃいけないと思ってるのか、それとも気付かなかっただけなのか……?)

そんな映画です。この『銀色の雨』という映画は。



さてさて。
試写会でのいただき物はフライヤー。(いつからチラシの事、「フライヤー」なんてシャレた名前で呼ぶようになったんだろう?)
それと……
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『銀色の雨』だけに飴ってかい(笑)
しかも主人公3人にちなんで3個入り。さすがに銀色はムリだから青い飴でしたけど。

え~? コレ考えたの、まさかミスターじゃないよね?
も、どこまで本気なんだか……



今後の公開情報などは、映画の公式HP(http://www.giniro-movie.com/)でご確認を。
皆さんのお近くに参りましたら、是非ご覧になって下さい。
「見て損はしない」というよりも「面白い面白くないはともかく、見ておいた方がいい」映画の一本です。


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文藝春秋
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