湯之助の宿 長楽園

米子ライフ67日目。だけど今日は出雲ライフ。
〝山陰三湯完全制覇〟と銘打って、玉造温泉を訪れた話は先日の記事に書きました。その時に入りました温泉施設『玉造ゆ~ゆ』の隣に、『湯之助の宿 長楽園』という大層立派な温泉旅館がございます。
この宿の〝売り〟と申しますか、自慢の一つに「日本一広い露天風呂」というのがあります。
その広さ、ナント120坪!!
120坪といえばア~タ、畳数に換算して実に240畳! ちょっとした大広間じゃないですか。
ハハハ……バカでしょう? アホでしょう? ふざけてるとしか言いようがないでしょう?
そんな大宴会場みたいなバカっ風呂、一度でいいから見てみたいでしょう?
――てな訳でワタクシ、そのバカっ風呂を拝みに行ってきましたよ。


米子西インターから山陰自動車道で西へ。
この山陰道、JR山陰線最古の駅・御来屋駅近くの名和インターから出雲市手前の斐川インターまで、一直線で結ばれてはいますが、有料区間と無料区間が複雑に入り混じってます。米子西インターから東出雲インターまでの「安来道路」と松江玉造インター以西の区間が有料。それ以外の区間は無料となっています。
なんでこんな面倒臭い事になってるかというと、道路公団(当時。今はNEXCO西日本)が工事に加わっているか否かの差なんですね。つまり、国や県・地方自治体が建設した区間は無料。道路公団が建設・管理している部分は、工事管理費を回収する為に有料になっているんです。
「安来道路」の場合はヒドい。工事の途中で「維持管理はウチらがやるから、ま~ぜてっ」と道路公団が割り込んできて、いざ工事が完成したら「おう! 維持管理費払わんかい、ワレェ!」と態度を豹変してきた。これじゃまるで居直り強盗だよ。
まぁ、工事費全体の1割程度だったので、それが償還されるまでは有料としてますが、未来永劫に償還されないんでしょうねぇ。負債は日増しに増えてってますから。国や県が「この道路の分でしょう?」と言っても、公団側は「ウチらは日本全体を見てますから」とか平然と答えて、安来道路の償還分は、いつの間にか東北の片田舎のサービスエリアのトイレットペーパー代として消えてったりしてんですよね。
……ん? サービスエリアの維持管理は別会社か?
――なぁんてな日本の高速道路建設の七不思議は、どっか別次元に置いてきて。
閑話休題。
画像その山陰道を松江玉造インターで降り、国道9号線を案内標識に従って左に折れ、ややしばらく行くと、玉造温泉に到着します。『湯之助の宿 長楽園』さんは、温泉街のちょうど中程に位置します。
「湯之助って誰やねん?」
ごもっとも。
え~、この旅館の御主人、その昔「桂湯之助」という名前で咄家さんをやっておられまして……あ、違うってのバレバレ? 
はい、本当の話をお教えしましょう。
御主人の御先祖様、実はこの玉造温泉の開祖様であられまして。以来、子々孫々にわたって温泉の管理に当たってきたそう。その功績が認められ、江戸時代に松江藩から「湯之助」なる官職を与えられ、いわば温泉街の顔役になりまして。明治に入って『長楽園』の屋号で旅館業を開始、現在に至る――てな訳です。
まぁ、言うなれば〝庄屋の宿〟とか〝陣屋〟とか、そんな感じでしょうかね。

フロントで入湯料1,500円を払って、ポーチ入りのタオルをいただきます。庭園露天風呂には、一旦外へ出て、向かいにある離れ棟の方に行きます。案内看板の手前、女性は右手の建物の方へ、男性は左手の数段下がった所にある脱衣所へ。
期待に胸躍らせながら、脱衣所の扉を開けますと――
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ぶわっはっはっは 
バカだぁ~っ! バカ風呂だぁ~っ!!
だってア~タ、これ見たら絶対笑っちゃうって。
あのね、コレ、池じゃないんだよ。こっから向こうまで全部温泉なんだよ。
しかも、加温も加水もしてない源泉掛け流し。72℃の源泉を自然冷却させて程よい温度に保ってる。
当たり前だ。毎分160リットルという湧出量なのに、満杯にするのに一昼夜かかるってんだから。そんな風呂を温め直してたら、燃料がどんだけあったって足りゃしない。水を加えて冷まそうとしたら、ダムがいくつあったって足りゃしない。
明治42(1909)年に完成して以来、数多くの著名人に愛され続けてきた大露天風呂。そりゃあ惚れ込むよね。だって、思わずバカ笑いした後、すぐにも入りたくて入りたくて仕方なくなるんだもの。
無色透明な芒硝泉(ナトリウム・カルシウム―硫酸塩塩化物泉)で、深さは90㎝ほど。ちょうど下腹半分くらいですかね。謳い文句は〝露天温泉プール〟ですが、本当にプールのつもりで泳いじゃうと、あちこち擦り傷だらけになっちゃいます。それ以前に眼がヤラレっちゃいますか。一応、飲用可になっているので、口に入っても安心っちゃあ安心ですけど。
しかしまぁ、離れに泊ってる客はビックリするだろうね。ちょっと庭でも見ようかと思ってカーテンを開けると、庭どころか温泉の池が眼前に広がっていて、のへ~っとくつろいでるオッチャンオバチャンが(いや、別にオッチャンオバチャンに限った訳じゃないけど)そこに浸かってんだから。
そういった訳で(どういった訳?)、本来、写真撮影は禁止なんですが(当たり前ぢゃ。混浴なんだもん)、他に誰もいない貸し切り状態なのをいい事に、無遠慮にバシャバシャ撮ってまいりました。その広さが伝わるかどうかは疑問ですが、せめて雰囲気だけでもお楽しみください。
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どぉ~おですか? そのバカ風呂加減、少しでも伝わりましたかね?
『龍宮の湯』なんて名前が付いてまして。龍の彫り物が施された湯口から、本来なら滝のように豪快にお湯が流れ落ちてるんですが、冬の間の温度調節の為か、他に何か理由があるのか、樋のようなもので覆われてましたね。なんか龍がお湯をストローで飲んでるみたい(笑)
混浴と申しましたが、湯浴み着(タオル地でムームーみたいになってるヤツ)が用意されてますし、女性専用の内風呂もありますので、安心してご入浴下さい。ただ、こんなだだっ広い風呂に入れる機会ってそうそうないので、恥ずかしがらずに是非こちらへ入ってもらいたいですね。男性の皆さん、あまりジロジロ見ないでね。マナーを守って楽しみましょう。「混浴文化を守る会」からのお知らせでした(笑)
宿泊客の為の準備の関係もありまして、残念ながら日帰り入浴は昼12時から午後2時半までの、2時間半の間だけとなってしまいますが、1,500円分の――いや、それ以上の価値はありますね。
これは一見の、と申しますか〝一浴〟の価値アリですよ!

画像で。
『長楽園』さんのスゴさは、この露天風呂だけじゃないんです。隣にある日本庭園がまたスゴい。
総面積1万坪に及ぶ回遊式の庭園には、数百種の樹木草々が植えられ、池では緋鯉が悠々と泳いでいます。それを取り囲むように並ぶ『知心庵』『和春庵』という名の離れ客室。まるで、これら離れの為の中庭のようですらあります。だからといって、一般客立入禁止とかって訳じゃあないんです。「この庭園も大切なおもてなしの一部分」と、自由に散策する事が出来ます。
遊歩道の奥には『浦嶋庵』という休憩所があって、ここも自由に上がる事が出来ます。湯上りついでに玉砂利を踏みしめながらの散策。ちょっと疲れたら、ここで椅子に腰掛けて、ゆっくり庭を眺める――なんてのもいいかもしれませんね。
遊歩道の途中には、どこかへ通じる謎の洞窟があります。いったいどこへ通じているんだろうと、ちょっとした探検気分でくぐり抜けると、池のすぐ脇に出ます。
「なぁんだ、結局ぐるっと周っただけか」と思いましたが、どうも様子が違う。周りを囲んでいるのは雑木林ですし、庭の様子もちょっと違う。何より向かいにあの露天風呂も離れ客室も見えません。
なんと、先ほどまで散策していた庭園の奥に、もう一つ庭園があったのです。
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庭の奥に一本の紅梅の木があり、ちょうど綺麗に咲き誇ってました。
池に面するように一軒の離れと申しますか〝貴賓館〟が建っています。こちらには昭和天皇・香淳皇后も泊まられた事があるそうです。察するに、この庭園は貴賓館用の庭だったと。だからといって、足を踏み入れてはならないという訳でもなく、貴賓館が使用されている時以外は、自由に散策できるようです。
ここで小さな疑問。
昭和天皇も、ここへ来る時はあの洞窟をくぐって来たのか?
答えは「ノー」です。ちゃんと裏側に別の通用門があり、そこから車で入られたようです。


お風呂だけじゃない、他にも見所がいっぱいある『長楽園』さん、ワタクシ、いたく気に入ってしまいました。帰り際、誰もいないのに確認するように、ニタニタしながら「うん! 良い!」ばかり言い続けてました。傍から見たら、なんか危ない人のように映ったでしょうね。
危なくないですよぉ。「おかしい」だけですよぉ(笑)
外見でこうですもの。お部屋や料理も、さぞかし満足させてくれるものと思いますよ。
今度は日帰りじゃなく、宿泊客として来てみたいと強く思いました。

もっとも、一人で宿泊するのでも一泊2万円程しますけど
そんな贅沢出来ないわぁ~……
定額給付金が出たら、足しにしようかしら(笑)

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