長崎は今日も暑かった……

画像快速『ムーンライト九州』は、朝7時半に終点・博多に到着です。
夏の九州らしく、抜けるような青い空。今日も暑くなりそうです。
博多駅は現在、新駅ビルの工事中でした。『サイコロの旅』で見慣れた駅前広場も、仮設の屋根や工事フェンスだらけでした。
これでは天下一武道会は開けませんね(笑)

改札を抜けると、すぐさまその足で交通センターへ向かいます――て事はバス移動?
ハイ、その通りでございます。
何を隠そう九州という場所は、知られざるバス天国なのであります。
各主要都市間は高速バスで結ばれていて、何なら鉄道移動よりも早く、便数も多いんですよ。
そんな「利便性のいいバスを、もっと利用して下さい」という事で、九州内のバス事業者が一致協力して登場させたのが、このSUNQ(サンキュー)パスです。
暖かい九州のイメージである「太陽(SUN)」と、3日間無制限使用の「3(サン)」に、九州の「Q(キュー)」を組み合わせて「SUNQ」。発音すると「サンキュー」。使ってサンキュー、乗ってサンキューてな感謝の気持ちも込めて名付けられたんだとか。
この『SUNQパス』、九州内および下関のバスが乗り放題になるフリーチケット。それも都市間バスだけじゃなく、市内路線バスも乗り放題というスグレモノ。九州全土で約2,400路線、台数にして約8,000台が乗り放題なんですと。
しかも、唐戸(下関)~門司港間の関門連絡船、熊本~島原間の熊本フェリー『オーシャンアロー』、口之津(南島原)~鬼池(天草)間の島鉄フェリー、鹿児島港~桜島間の桜島フェリーの4航路にも乗れ、さまざまな観光・食事施設で割引などの特典を受けられるという、それはそれは使い甲斐のあるチケットなのです。
種類は3日間乗り放題の「全九州パス」(10,000円)、宮崎・鹿児島県を除いたエリアで3日間乗り放題の「北部九州パス」(8,000円)、それにこの6月から売り出された全九州4日間乗り放題の「4日間パス」(14,000円)の3種類。
しかもこの「北部九州パス」、四国・沖縄と兵庫県以東で買えば、さらに2,000円安い6,000円で買えるという。
これは使わないテはないでしょう。
画像ワタクシめも早速コレを使いまして、7時49分発の長崎行き高速バス『スーパーノンストップ九州号』に乗り込みます。
博多~長崎間が、JR利用なら(あ、普通列車だけでならって事ね)4~5時間はかかってしまうところ、高速バスなら2時間半で着くんですもの。しかも30分おき位に出てるし。
こりゃあ利用しないテはないでしょう。
……18きっぷの出番ナシ。面目丸潰れ(笑)
それにしても。
『ムーンライト九州』で移動してきて、そこから『九州号』で移動って、どんだけ〝九州〟なのよ(爆)

早いですなぁ。
さすが『スーパーノンストップ九州号』、博多の天神バスターミナルを出ると、九州自動車道・長崎自動車道・出島道路を通って一直線に長崎市内まで。その間、まさにノンストップ。長崎市内にしても、フェリーターミナルのある「大波止」で停まったら、次は終点の「長崎駅前」ですもの。全部で停留所が4つって、まさしく〝スーパーノンストップ〟ですな。
道路事情などで多少の遅れはあったものの、10時15分に長崎駅前に到着。
いやぁ~……アッサリ着いちゃうもんですなぁ。あまりにアッサリし過ぎて、何の感動も起きねぇや。
そして、暑い!
やっぱり暑い!!
たまらなく暑い!!!
まだ朝10時だというのに、既に炎天下。5分と経たないうちに汗が噴き出てきますよ。家を出る時、玄関先に帽子を置いてきてしまった事を猛省。首にかけてたタオルは、速攻で頭からほっかむり。
さすが九州ですな。こりゃ帰るまでに何本のドリンクを買う事になるでしょう。
水分補給は大事よ、水分補給は。


市内は路面電車が4系統、約5~8分間隔で運行しています。運賃はどこまで乗っても一乗り100円。
でもここは、SUNQパスの恩恵をフル活用いたしまして、路線バスで移動する事にします。
まず向かうは、日本三大ガッカリ名所〝候補〟の一つ、オランダ坂です。どこがどうガッカリなのか、この目で確かめてみましょ――てなもんで。
駅前からバスに乗り、「グラバー園入口」で下車。……ホントに乗れちゃうんだぁ……
画像降りた先、ちょっと気になる建物を見つけました。
総御影石造りの3階建て洋風建築。どことなくギリシャの神殿チック、欧米風な雰囲気もあれば、日本風な一面もあります。
旧香港上海銀行記念館。入館料100円。
この瀟洒な洋館は、長崎の洋館群の中でも最大級のものなんだそうで。
中に入ると、かつてここが銀行であった事を主張する、長く大きなカウンターがぐるりと。吊り下げられたシャンデリアや壁・天井に施された装飾に、活躍された華僑の方々の羽振りの良さと、明治から昭和初期にかけて隆盛を保った貿易都市・長崎の様子が伝わってきます。
相当儲けてたんだろうなぁ~。中国人って、どこへ行っても元気ですねぇ~。つーか、どこ行っても我が物顔で暮らしてるからなんでしょうねぇ。
褒めてない、褒めてない。
2階は、ここ長崎の人形作家である故・久保田馨さんが作った土人形『頓珍漢(とんちんかん)人形』を展示した「頓珍漢人形展示室」になっています。
愛知県出身の久保田さんが長崎にやって来たのは昭和27年、彼が24歳の時でした。長崎に移り住んで間もなく、素朴な長崎焼に出会った久保田さんは、父親の商売を手伝う事もなく、その窯元に入門。型通りの製作に飽きたのか、26で独立して素焼きの人形作りを始めます。
その中で生まれたのが、どこか埴輪チック、どこかユーモラスで、それでいてどこか物哀しい人形たち『頓珍漢人形』でした。
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この『頓珍漢人形』、土が焼ける時の音から名付けられたとも、トンチンカンと鎚打つ鍛冶屋のように無心に人形を作り続けたいという思いから名付けられたとも云われていますが、その実、平和への祈りを込めて名付けられたと言われています。
人形作家でありながら、作家でもあった久保田さん、まだ原爆の爪痕が残る長崎を目の当たりにして、戦争に対する怒りと、それでもなお戦争を続けようとする人間の愚かさを詩に書き留めています。


戦争をにくみ平和をねがう気持ちにだれだってかわりない。
それなのに世の中には馬鹿な人間がいて、ひそかに戦争のよういをしている。あれほどの大殺人器のゲンバク、スイバクをこっそり(でもないか)どしどし作っている。
とんでもないことだ。
「そんなバカオソロシイものはみんな海のそこにおすてなさい」とさけびたい。
何とかして、みんなでそうさけびたい!
そのバカオソロシイことは、われわれ長崎人が一番よく知っているんだ!

画像画像














何とトンチンカンなんでせう 灰におびえる人々も それを撒(ま)きたがる人々も 同じ人間なのは 
この最大最悪のトンチンカンから 些細なほほえましいトンチンカンに至まで
私達は毎日 よろこびのかなしみの その他のお面をいっぺんにかぶり
神と悪魔と たやすく手をとり 忽(たちま)ち訣(わか)れ 明日へ新しいトンチンカンをこしらえる
それが生きることらしい
何とトンチンカンなんでせう



反戦への思い、平和への祈りを、わずか5センチ程の小さな人形ひとつひとつに込めた久保田さん。
昭和45年、42歳で亡くなるまでの間、実に30万体もの『頓珍漢人形』を作り上げたそうです。それらは長崎市内の土産物屋で廉価(30円~70円!)で売られ、九州土産として全国に散らばった為、現在確認されているのは1000体に満たないとか。
昭和37年、ブラジルの著名な詩人・ヴィニョーレスによって見出され、世間の注目の的にならなければ、この人形たちも久保田さんの願いと共にやがて打ち捨てられていたかと思うと、何とも言葉が出てきません。
かく云うワタクシめも、ここを訪れるまで、そんな人がいて、そんな人形があった事なんて知りもしませんでしたよ。
ふらりと立寄ってよかった。
偶然に感謝! のらり旅バンザイ!
(などと自画自賛してみる)
3階は、貿易で栄えていた頃の長崎の様子を、写真や資料を交えて紹介しています。
ん~……『頓珍漢人形』がなかったら、「ふ~ん……」で通り過ぎてしまったなぁ。最初は「この人形が、この建物にどう関係してんの?」と思ったもんですが、一通り見終わってみると、『頓珍漢人形』ありき、どちらかというとコレがメインと言っても過言ではない。
現金なもんだ。


やぁ、どうした事だ。
まだバス停を降りたばかりだぞ。オランダ坂の「オ」の字も見えてこないぞ。

路面電車が通る道を渡り、商店街沿いの道をてくてくと歩きます。
まだ道は平坦です。

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