のらり旅・春の宿題~蜂須賀桜を追いかけて(完結篇)~

去年の春、JR四国の開業20周年企画『JR四国全線最短時間乗車ツアー』に参加いたしまして、その記念に海部駅構内に桜の苗木を植樹しました。で、その桜の木が〝蜂須賀桜〟という品種だと教えてもらい、あまり聞き慣れない名前に「蜂須賀桜ってどんな桜よ?」と興味を抱き、ツアー後に蜂須賀桜を追う旅を敢行。原木がある原田邸まで追跡したものの、早咲きの桜ゆえ、結局お目にかかる事ができませんでした。
今年に入りまして。
原田邸の一般公開が3月7日(金)~9日(日)の3日間にわたって行なわれ、蜂須賀桜も咲き始めてると知り、ちょうど『春の青春18きっぷ』シーズンに突入した事もあって、訪れる事にしました。
……すげェな、1年がけの企画だよ(企画言うなッ!)

徳島駅から一駅、JR牟岐線・阿波富田駅で下車。富田小学校脇の踏切を渡って、線路と東富田公民館の間の狭い道をずずいっと行きますと(もしくは徳島駅前の市営バス3番のりばから<系統9>『山城町ふれあい健康館』行きに乗って、『かちどき橋五丁目』で下車。三笠電機さん前の細い路地をまっすぐ行きますと)、住宅街の真ン真ん中に――それこそ「本当にこんなトコにあんのかよ」といった場所に、国の有形文化財にも指定されている原田邸がちんまりと建っています。
原田邸は、明治初期に名東県(今の徳島県とその周辺)の幹部を務めた原田一平が、阿波藩最後の藩主・蜂須賀茂韶(もちあき)侯から、当時徳島城下にあった邸宅や門を譲り受け、この地に移築したものです。この折、御殿に植えられていた桜を茂韶侯から「子孫代々守り育てるよう」託されたのが、庭先に植えられた『蜂須賀桜』だと伝えられています。
画像門や蔵、湯殿などはもうありませんが、母屋はほぼ往時の姿のままで残っています。
一見平屋に見える母屋は、実は一部二階建てになっています。その二階に上る階段は、建物のほぼ中央に位置する仏間の奥に隠すように設けられており、階段を上り切った所に小屋裏に通ずる建具があるそうです。他にも、各部屋が襖や障子で仕切られていたり、玄関の間の正面が壁にしてあったり、上座の床の間の裏に異様に広い空間があるなど、盗賊や敵からの襲撃に備える様々な工夫がなされており、武家住宅らしさが随所に見受けられます。
その一方で、当時の一般民家や士族の家とは違い、間取りや造りも異質で多くの部屋を有しています。数寄屋造りの母屋は全体に質素ですが、杉の面皮柱が多用されていたり、富士や松原を彫った透かし欄間があるなど、所々に京風の洒落た贅を見る事が出来ます。
やはり只の屋敷ではないのですね。普通の武家屋敷なら、ここまで華美にする必要はないですもんね。もしかすると、茂韶侯の別宅だったのかもしれません。想像ですが、桜に屋敷が付いてきた――桜を守り育ててゆく代償として、屋敷が譲り渡されたんじゃないかと思うんですよ。
画像「玄関の間」の隣にある「取次の間」は記帳台になっており、観覧記念の品があります。コースターなんでしょうかね、杉板に『蜂須賀桜』『武家屋敷』の焼印が入っています。
庭に面した「上座」は、続く「客間」とともにお茶席として用意され、見学者に抹茶と茶菓子の接待(有料)がされていました。床の間には蜂須賀桜の枝が生けられ、その脇には雛人形が飾られていました。早く片付けないと(笑)
「客間」の奥には六畳の茶室が設えてあります。
「玄関の間」の反対側には、窓越しに庭の蜂須賀桜を眺める小部屋があります。その名も「桜の間」。かつては、この窓から桜を眺め、庭に下りては桜を愛でていたんでしょうね。
原田邸は入館無料。なれど開館日は不定期で、おそらくはこの一般公開日を除いては予約が必要かと思われます。駐車場はありませんので、公共の交通機関を御利用下さい。詳細の問い合わせは東富田公民館(088-653-5867)または蜂須賀桜と武家屋敷の会(088-625-8739)まで。 さて、肝心の蜂須賀桜。
全体的には三分か四分咲きといったところでしょうが、可愛らしいピンクの花がそこここに咲いていました。
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満開には後一週間か二週間はかかるでしょうか。その頃には、原田邸の門が閉じられますので、可憐な花を間近に愛でられるのはこの3日間だけ――痛し痒しですなぁ……
という訳で、約1年かけて追いかけてきた蜂須賀桜ですが、本物の花を眺められたという事で、これにて一応のゴールでございます。
まぁ……本当のゴールは、海部駅に記念植樹した苗木に花が咲いた時なんでしょうが、それはまた何年後かのお話、ですね。忘れてなかったら(笑)追いかけてみましょうか。

この記事へのコメント

2008年03月08日 23:36
では、本当の完結編はそれまでお楽しみにってことですな。
待っておりますよ。ニヤリ。
讃岐屋
2008年03月08日 23:40
では、十年お待ちください(笑)

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