同行二人 うどん行脚~箸休め・金刀比羅宮

今回のうどん行脚を計画する際、方々の旅行代理店が主催する〝うどん屋巡りツアー〟のパンフを参考にしました。それによると、どのツアーも1日4軒くらいが限度のようです。
それにもまして、
「これ以上入りません」
と「り」様からギブアップ宣言が出ました。我々の胃袋の中には、わずか3時間のうちに、一人頭4玉のうどん玉が収まっているのです。「り」様ならずとも、「チョット食い過ぎたなぁ」と感じるところです。
食べ過ぎたら消化すればいい。オーバーしたカロリーは消費すればいい。コレ、自然の哲理。
てな訳で。
ここからはレクリエーションの時間です。
国道438号線を引き返し、来る時は曲がった内田交差点もそのまま直進。国道32号線、県道282号線と乗り継ぎ、やってまいりました金刀比羅宮。
「り」様、「やっぱり来ちゃったかぁ~……」という顔をしてらっしゃいます。
ふっふっふ、お諦め下さい(笑)
これから300段の石段を駆け上が……ちゃったら腹が痛くなるので、ゆっくりゆっくり上って、現在開催中の『書院の美』展を拝観しようじゃないか、という腹積もりです。
「り」様、ワタクシめが先に上げたブログ記事を読んで、かなり恐怖感を抱いておられる様子。
あれ? 脅し過ぎたかい?

さ:「じゃ、今からまいりますので。途中、もし無理だと思ったら言って下さい」
り:「無理ですッ!」

……まだ一段も登っとらんがな。つーか、その石段の「い」の字も見てませんがね(笑)


門前の土産物屋を覗いたり、『金陵の郷』に聳える大楠を見上げたりしながら、いよいよ石段の出発点に。

り:「登る……ん……ですよね……」
さ:「ハイ、登りますよぉ」

「り」様、諦めたように「はぁ……」とため息を吐くと、一段一段ゆっくりと登り始めます。
登ってはなだらかになり、登ってはなだらかになりを繰り返しながら100段目をクリア。ここからが本格的な登りになる一の坂。登っては休み、登っては休みを繰り返しながら、300段目に立つ大門に到達。
「り」様、すっかり汗だくです。大門の柱石に腰掛けると、「もう動けません」のギブアップ宣言。非常にツラそうであります。
(無理させちゃったかなぁ……でも、ここで引き返したら、「り」様にとって金刀比羅宮は、ただキツく苦しかった思い出だけが残っちゃうんだよなぁ……)
気の毒ではありますが、ニコチン補給が済んだ「り」様を促して、先へ進む事に。ワタクシが先へ進めば、「り」様は付いて来ざるを得ない訳です。
こんなヒドい修行があるでしょうか(笑) ビリー隊長だって、もう少し優しいぞ(爆)
ビリー隊長はキツくなってくると「頑張れ! もう少しだ!」と声をかけてくれますが、ワタクシの場合、ただ黙~って前に進むだけですから。

画像それでも、どうにかこうにか、我々がゴールと決めた御書院にたどり着きました。
本当に「たどり着いた」ってのがピッタリな程の憔悴ぶりです。まさに疲労困憊。
(無理強いし過ぎたなぁ……)
反省しつつも、そんな表情は億尾にも出しません。こうなると冷酷無比と言うより、〝人でなし〟を通り越して〝非人間〟ですな(笑)
ここで「り」様、あろう事か「お守り買ったら、下で休んでますから、どうぞ見て来て下さい」と。
え? え? え?
チョット待って、チョット待って。
我々、何も闇雲にあのキツい石段を登って来た訳じゃないんですよ。目的は、ここで『書院の美』を見る事。石段を登るのは、その手段でしかない訳ですよ。
それに、ワタクシは先の記事をアップする為に、何度となく見ている訳ですよ。この先だって、何度でも見る機会がある。それに対して「り」様は、そうおいそれとは来られない訳です(「別に来たかねぇや」と云われればそれまでですが)。
もリーダーも「面白かった! 絶対オススメ!」と『も日記』に書いた障壁画の数々、是非「り」様にも御覧いただきたい。
ワタクシが見たいのではありません。ワタクシが「り」様に見せたいのです。
なのに、「ワタクシだけ見ておいで」と、「り」様は仰る訳ですよ。
それはもう、本末転倒でございませんこと。
目の前まで来ておいて、このまま引き返すなんて「そりゃないぜ、セニョ~ル」でございます。

さ:「いや、もうチケットも買っちゃいましたし」
り:「でしたら払い戻していただいて」
さ:「いやいや、もうここまで来ちゃいましたし。せっかくですから」

頑として譲らないトコ、ワタクシって、こんなにワガママだったんですかね。
ワタクシ、絶対に登山パーティーのリーダーにはなっちゃいけない人種です。パーティーメンバーから「撤退しましょう! 退くのも勇気です!!」とか説得されてんのに、「いや、でも、ここまで来ちゃったし。ホラ、もうすぐそこだから」とか言いくるめちゃって、強行軍を強いた挙句に全員遭難しちゃうの(笑) パーティーみんな、「リーダーの馬鹿野郎ォ~ッ!!」と叫びながら死んでくの(爆)
目に浮かびそうでイヤだわ。
嫌われなきゃいいけど――て、もう十分嫌われてますがな。
でも……哀しいかな「り」様、ワタクシがテッテコテッテコ先に行くと、渋々ながら付いて来るしかないんですね。
応挙や若冲の見事なまでの障壁画の数々を前に、ワタクシの知る限りの知識をひけらかし、熱弁を揮うのですが……揮えば揮うほど「り」様のテンションは下がって行き……
「今は絵なんかどうだっていいんだ。それよりも、この汗と弾む息を何とかしなくては」てなもんです。
まっことすんまそん。
その「り」様も、白書院の壁一面に描かれたツバキを見た瞬間、「おぉ!」と声を洩らしました。それ程までに強烈なインパクトを与える真っ赤なツバキの障壁画。まだまだ制作途中というのが、さらに興味を惹かせた様子。
「ね。来て良かったでしょ?」とは口が裂けても言えません。息が整ってきたとはいえ、その横顔には、とても声を掛けられるような雰囲気では……
心底すんまそん。


ホテルまでお送りする車中、一言も声を発する事なく、死んだように眠られている「り」様をルームミラーの端に捉えながら、
(申し訳ねぇだ。オラが悪かったダス。許してケロ)
と心の中で唱えてたのは誰にもナイショ――て、ここで白状してますが。
たぶん「り」様の脳裏には、「コイツと一緒に旅するのはキケンだ!」とインプットされたに違いありません。

……また一人、旅仲間を失ってしまいましたな。


〝レクリエーション〟と呼ぶには、あまりに苛酷な仕打ちでした。

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