ぶるぅじーんめもりぃ

画像皆さんは、倉敷市児島が〝日本のジーンズ発祥の地〟と云われている事を知っていますか?

瀬戸大橋・本州側の袂にある児島は、幕末の頃から繊維の街として知られ、学生服・作業服の製造では全国シェアの7割を占めています。皆さん御存知の『カンコー学生服』や『富士ヨット学生服』、働く男のユニフォーム『寅壱』なんかも、ここ児島で作られています。
「すべての中心が東京だった時代、児島に住むおじいさんが、孫の為に東京まで出て行って学生服を買って帰ってみたら、児島で作ったものだった」 という逸話が残っているほど。
で。
そんな土地柄ですから、戦後にジーンズが輸入されてきて、「国産ジーンズの生産を児島で」となっていったのは当然の帰結でしょう。倉敷本町には倉敷紡績(現クラボウ)がある事で良質な綿織物に恵まれ、藍染料は本場徳島から手に入る。原材料に恵まれ、技術も職人も揃っているとなれば、これで生産されない訳がない。
皆さん御存知の『ビッグジョン』や『バイソン』、レディースジーンズの草分け『ベティスミス』なども、ここ児島の生まれなんですよ。


JR瀬戸大橋線・児島駅西口を出ますと、左手に『鷲羽山ハイランド』(〝瀬戸大橋が見える遊園地〟がキャッチフレーズ)の大観覧車を見ながら、駅前のバスタッチへ。ここから路線バスで、下之町にある『ベティスミス』本社工場へ向かいます。
と申しますのも、本社工場の敷地内には、ジーンズのすべてが紹介されている資料館『ジーンズミュージアム』があるからなんです。
市内循環バス〝ふれあい号〟で「王慈園前」バス停(あるいは王子ヶ岳線「常盤橋」バス停)下車。歩いて5分。『ベティスミス』本社ビルの向かいに、『ジーンズミュージアム』はあります。朝9時から夕方5時まで(但し、昼12時~13時は休館)開館していて、入場無料ではあるんですが、入場の際には本社受付で記帳をお願いします。また、土・日・祝祭日は事前確認が必要になります。
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2階建ての館内はウエスタン調にまとめられ、リーバイス社製第1号の復刻版ジーンズや国産初期の製品などが展示されていて、アメリカ西部開拓時代に端を発したジーンズの歴史について学べます。
また、1本のジーンズが製品として生産されるまでを、デニム生地の染色から裁断・縫製・加工に至る段階を、順を追って学べるようになっています。
〝ストーンウォッシュ〟てありますよね。あれって、生地のこなれ具合とか色の抜け具合とか、化学的にそんな風合いに仕上げるもんなんだとばかり思ってたんですよ。ただ、呼び名が〝ストーンウォッシュ〟て呼ばれてるだけなんだと。……本当に小石と一緒に洗うんですねぇ~。今さらながらに驚いたりして。
お2階は、ここ『ベティスミス』の創業から現在に至るまでを、パネルや当時のPRポスター、実際の製品なんかを交えながら紹介されています。そして、ジーンズといえば特徴的なのがリベット止め。ポケットサイドとか前身頃のボタンとか、金属のリベットで止められてますよね。アレを、ここでは足踏み式のリベット打ち機を使って、実際に体験が出来るんです。
……「だから何だ」と言われれば、それまでなんですけど(笑)
ええい! はっきり言いましょう!! ショボいです!!
「仮にも『ジーンズミュージアム』と名付けるくらいなんだから、もう少し何とかやり様があっただろう!!」
と憤ってしまうほどショボいです。
「見る価値ナシ」とまでは言いませんが、わざわざ時間割いてまで見に来るほどの物ではごじゃいましぇん。
……だったら紹介すんなよ(爆)

工場の裏手には、『ベティスミス』製品が手頃な値段で買えるアウトレットショップがあります。
普段は1万円ぐらいするモノが、場合によっては2,000~3,000円で買えてしまいます。モチロン、色ムラや縫製ズレ(縫い目が若干曲がってしまっている)などの、いわゆる商品にならない〝B級製品〟もありますが。
で。
ここはそれだけに止まらない。さすがは生産工場なだけあります。
ショップ内には、オーダージーンズを相談できる『夢工房』というコーナーがあります。
「このパターンに合わせて、生地はコレで」というものから完全オリジナルまで、色々と対応していただけるそうですので、「世界で1本しかないジーンズが欲しい」「他の人とはチョット違うジーンズが穿きたい」という方、一度相談してみてはいかがでしょう。

はぁ。これで何とか面目は立ったぞ(笑)


画像児島といえば〝繊維の街〟であるとともに〝塩の街〟でもあります。
日本の塩田王・野崎武左衛門が生まれた町・児島は、戦前までは、現在の市街地一帯は広大な大塩田で、それはすべてこの武左衛門が所有していたというのです。その証拠に、JR児島駅東口・児島マリーナの脇には、文久3(1863)年に武左衛門が塩売船を導く目的で建てた、野崎浜灯明台が現存しています。
塩田そのものは、昭和44(1969)年までに全て海水濃縮プラントに取って代わりましたが、製塩事業は現在のナイカイ塩業に至るまで、野崎一族が代々携わってきました(現社長も野崎一族)。
「化学的に精製された塩は、本当の塩じゃない」とばかりに、一貫して〝瀬戸内の海から作られる塩〟にこだわっており、そのシェアは全国の7割を占めています。
塩といい、学生服といい、随分と7割が好きなのね(笑) ついでに言うと、帆布製造も全国シェアの7割(爆)

という訳で、その野崎武左衛門が生活の場としていた旧宅が、『野崎家旧宅』(まんまやん!)『野崎家塩業歴史館』として、一般公開されています。
路線バスで「大正橋」バス停下車。徒歩7分。敷地総面積3,000坪とも云われる大邸宅ですから、すぐにわかります。入館料500円。
画像「長屋門」と呼ばれる正門から中に入ると、書院造の建物が2棟。まさしく〝表書院〟と母屋(中座敷・向座敷)です。
表書院は、貴賓の応接にあてられた、野崎家の中心となる建物で、嘉永5(1852)年の建築。
残念ながら中に入る事は出来ないので、開け放たれた縁側から覗くだけになってしまいますが。
縁先の手水場には水琴窟が設えられており、そこから伸びた竹筒からは、澄んだ音色が聞こえてきます。
天保4(1833)年に建てられた母屋は、総奥行33間(約42m)で、武左衛門が住まいの中心としていた建物です。こちらも中に入る事は出来ず、外から覗くだけですが。
母屋の脇には、堂々とした土蔵が5棟。うち、一番大きな「大蔵」と一番奥の「岡蔵」は、展示室になっています。
第1展示室となる大蔵では、製塩の歴史・それに携わってきた野崎家の歴史が紹介されています。
中でも目を引くのが、巨大な円柱型の岩塩。ポーランド産という事で、重さが実に1.5トンにも及ぶそうです。岩塩って白いものだとばかり思っていたら、こんな褐色のものもあるんですねぇ。
他にも、世界各国で産出された岩塩の標本が展示されています。
そして、ナイカイ塩業が生産している塩製品の数々。中には原料として味の素などに卸しているものもあって、『瀬戸の本しお』など、皆さんも一度は目にした事のある製品もあるんじゃないでしょうか。
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第2展示室となる岡蔵は、時期によって展示内容が変わるようです。
普段は江戸時代から伝わる民具や生活用具が展示されているようですが、2月、3月は「野崎家のお雛様展」と題して、野崎家が所蔵する、江戸から現代にかけての数々の雛人形が展示されています。
特に、武左衛門が岡山藩8代目藩主・池田慶政侯より拝領した内裏雛「享保雛」は、見事と言うより他ありません。高さ80㎝と申しますから、赤ん坊がチョコンと座っているような大きさです。大きさもさることながら、その絢爛豪華さたるや、日頃の喧騒をしばし忘れてしまいそうです。

ん。ここはなかなかに見所があったぞ。

『野崎家旧宅』の向かいには、『藍布屋』という織物工房があります。藍の布と書いて〝らんぷ〟屋。なかなかシャレてますな。
こちらでは、生地織りから手作りで作り上げたオリジナル製品を、『桃太郎ジーンズ』というブランド名で全国展開中。桃から生れた桃太郎は、ジーパン穿いて鬼退治です。
工房にはショップも併設しているので、そこで買う事も、オーダーメイドも出来ます。自分だけのジーンズを、材料から実際に手にしながら作る事が出来る。これこそが製作現場ならではの醍醐味じゃないでしょうか。
生地からこだわる『藍布屋』、当然ながら藍染工房も有しております。その名も『藍のぞき』。
JR児島駅のすぐそばにありまして、こちらでは藍染め体験も出来ます(要予約)。


さて。
駅前からは、その名も〝ジーンズバス〟という観光循環バスが出ています。運賃は160円均一で、児島の名所を35分でぐるりと回ります。また、提示する事で割引特典を受けられる、お得な一日乗車券(500円)がみどりの窓口で販売されています。
但し、〝ジーンズバス〟は金・土・日・祝日限定で、1時間に1本の6便(9:30~15:50)しか運行していません。さらには、今年3月一杯までの運行で、4月以降の運行は決まっていません。
ですので、平日に訪れる方は、路線バス(下電バス)か市内循環バス『ふれあい号』を御利用下さい。
但し、このいずれも1時間に1本という便数の少なさ。だからといって歩くとなると、『ジーンズミュージアム』のある下之町までは、優に40分はかかろうかという距離。ひとつタイミングを外すと、大変な事になってしまいます。
ん~、観光客に不親切な街だ(笑)
交通手段を含め、事前にしっかりした計画を立てて臨むか、割り切ってタクシー移動にした方がよさそうです。
ま、ミニ情報はこの辺にしておいて(笑)


瀬戸内海といえば、夕暮れがとても綺麗な海です。
ここ児島とて例外ではなく、瀬戸大橋を従えて夕陽に映える瀬戸の海は、それはそれは大変綺麗なものです……が……生憎の曇り空ですしねぇ。
まぁ、これはまたの機会にしましょうか。


そんな訳で、倉敷市児島を訪ねてみた今回の〝のらり旅〟ですが……まぁ、暇潰し程度にはなったんじゃないでしょうか。
倉敷市も、美観地区ばかりじゃなく、他地区にも、もっと本腰を入れた観光行政を取った方がいいと思いますよ。〝産業観光の新たな道〟なんてお題目は勇ましいんですけどね、いざ訪れてみると、自由見学を謳っている企業の多くは事前申し込みが必要だったり、「いや、わざわざ来られても……」と困惑されたり。〝産業観光の新たな道〟というより〝新たな問題点〟ばかりが浮き彫りになってしまったような。
〝国産ジーンズ発祥の地〟なんてキャッチフレーズばかりが先行し過ぎて、ハードもソフトも整い切らないうちに見切り発車してしまった恰好です。

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    Excerpt: 先月、倉敷・児島の旅について記事を書きました。 んで、この記事に対するここまでの閲覧数、正直チョボチョボだったのです。つまりは、そんだけしか興味を持っていただけなかったって事。 「ん~……旅ものっ.. Weblog: 讃岐屋が行くわよっ☆ racked: 2007-04-24 01:54