終点・細倉マインパーク前駅

ディーゼルの音も軽やかに、汽車は稲刈りを終えた田園風景の中を駆け抜けて行きます。
途中、東北自動車道や東北新幹線の高架をくぐって、のんびりと進んで行きます。
こういう風景、〝鉄ちゃん〟にはたまらないんでしょうね。時代の最先端を行く新幹線と、廃線を間近に控えた「くりでん」が交差するなんてのは、実に絵になる光景じゃありませんか。
鳴らす汽笛は、最近の電車にあるような「プァ~ン」という機械的な音じゃなく、かといってSLのような「ボォーッ」という重厚な音でもなく。どことなく心地よく懐かしい……そう、まるで遊園地にある観覧電車のような甲高い「ポォーッ」という音です。
基本、前乗り前降りのワンマン運転。乗車時は整理券を取ります。降車時には、その整理券を運賃と一緒に運賃箱に入れます。
車内もまた可愛らしいんですよ。
運転席横には、前述の運賃箱を照らすように、電気スタンドのような傘付きの照明が付いています。なんかキノコみたい。
昔ながらの木枠の座席は2×1の配列。通路を挟んで、方や4人掛けテーブル付きのボックスシート。方や1人掛けの対面シート。回転なんかしません。もちろんリクライニングなんかありません。いかにもローカル線らしくていいじゃありませんか。それらを挟み込むようにベンチシートが配置されています。
窓と窓の間には、山野草などが描かれた陶板プレートが掛けられ、車内を和ませています。悪い言い方をすれば100円ショップで売ってるような壁掛けです。でも、こういうのを見ると、地元に愛されてきたんだなぁ~、てのがひしひしと感じられます。
まぁ、実際に乗ってみると〝のんびり〟とか〝のどか〟とかは別世界ですよ。
駅に停まる度に開くドアは、乗客の乗り降りの為というより開閉テストなのかと思うくらい瞬間技で、開いてはすぐに閉まります。
沿線の皆さんに別れを告げるような汽笛、て鳴らし過ぎちゃうんかい? ひっきりなしに鳴らしてますよ。風に吹かれながらウトウトと、なんて出来やしない。

さて、ウチの〝こてっちゃん〟(笑)
少しでも「私は正真正銘の〝鉄ちゃん〟です!」とアピールするつもりなんでしょうか、車両最後部にずっとへばり付いています。
う~ん……最前列に貼り付いて運転手感覚を味わうのと、最後部で遠ざかる鉄路を眺めるのと、どちらが〝てつ〟として正統なんでしょう?

画像およそ40分ほどの汽車旅を終え、終点の細倉マインパーク前駅に到着しました。
起点が無人駅なら終点も無人駅です。それもそのはず、くりはら田園鉄道で駅員が配置されている駅は、車両基地である若柳駅、東北新幹線・くりこま高原駅の最寄り駅の沢辺駅、栗原地区の中心たる栗駒駅の3駅しかありません。そもそも、ホームと待合所みたいな建物しかない駅がほとんどですから。
さぁ、大変なのは運転士さんです。
無人駅に着いたら運転士から車掌に早変りし、乗客の一人一人から運賃を受け取ります。
終着駅では乗客をすべて降ろすと、車内点検をしながら反対側の運転席に移ると、折り返しの乗客を受け入れ、また出発していく――ホント、見るからに大変そうだぁ……
我々もキップを差し出すと、
「いいですよ、記念に差し上げます」
嬉しい心遣いです。また一つ旅の思い出の品が増えました。
乗客の大半はすぐに折り返して行きます。〝乗り鉄〟の方が多いんですかね。
我々は、ここからチョット行った先の細倉マインパークへ向かいます。
かつて鉛鉱山があった細倉。その坑道跡を利用して、観光坑道としてオープンさせた細倉マインパークは、巷から〝近代稀に見るB級テーマパーク〟と噂されています(こんな噂されるってのは名誉なのか? 不名誉なのか?)。
はたして噂どおりなのか、実地検証です。
怖い物見たさで向かいます。

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