決まり手は肩すかし

安芸で有名なのは、この野良時計。
まだまだ各家庭に時計が普及していない明治20年、時計に興味を持った地主さんが、アメリカから取り寄せた柱時計を何度も分解・組み立てを繰り返して時計の構造を覚え、部品の一個一個を一人で作り上げ、完成したのがこの大時計とか。
以来、誰ともなく〝野良時計〟と呼ばれるようになったんだとか。
いやぁ~……スゴイなぁ。尊敬に値しちゃうなぁ、明治人の気質ってのは。マギー審司が「でっかくなっちゃったぁ!」とやるのとは訳が違う(笑)

さて、中に入ろうか――と思ったら、「こちらは民家です。立ち入りは御遠慮ください」

……こ、これだけ!?
オイオイ、外から見るだけで終わりかよ!!


あの……こんなの見る為に、エッチラオッチラと自転車漕いでやって来たの?
普通こういうのって、中が資料館みたくなってて、この時計のいわれだとか地主さんの人となりだとか当時の農村事情だとか何とか、展示されてんじゃないの?
案内板には「現在も作られた時と同じく正確な時を刻んでいます」とか書いたるけど……止まってるし(爆)
家の表札を見たら、件の地主さんと同じ姓。て事は、ここに今住んでるのは、その子孫か親類か。
……あのさぁ。
言いたかないけど、せっかく御先祖様が遺してくれた財産なんだからさぁ、もう少し手入れしようや。せめて案内板に嘘偽りないように時計動かすとかさぁ。それだけで見に来る人は驚いちゃったり感動しちゃったりするんだからさぁ。
市も市で、もう少し何かあったろう。いくら個人所有とはいえ、一応は市の観光資源な訳でしょ? 『安芸市観光協会』って看板も立ててるんだし、もう少し何か考えてみてもいいんじゃない?


安芸を代表する偉人の一人に、岩崎弥太郎がいます。
幕末から明治にかけ、海運商として財をなし、日本の近代化に多大な貢献をしました。三菱財閥――現在の三菱グループの祖であります。
その弥太郎の生家が、駅からおよそ3㎞行ったところにあります。畑沿いの道をまっすぐと「自分はどこ向かってるんだ?」と不安になりながら進んだ先に建っています。
……ん~。
確かに茅葺き屋根の昔ながらの民家は建ってるんですが……
他に何もないんです。
「どの部屋が何に使われてた」って案内がある訳じゃなし。
空家というか何というか。「こんなんなら、別にどこの家でもえぇやん!」て感じです。多分、そこら辺のあばら家に連れてかれて、「ここが岩崎弥太郎の生家です」って紹介されても納得しちゃいますよ。
弥太郎の顕彰碑と、裏手に建つ土蔵の鬼瓦に残る岩崎家の家紋である「三段菱」、土蔵の壁に残るおなじみの三菱マークで、ここがそうなんだってわかるんですけど。
今も岩崎家の所有で、保存管理は行き届いているって話ですけど――それだけ。あくまで〝保存管理〟の域を出ていない。
それがいい事なのか悪い事なのか。

……見に来るまでもなかったなぁ。「だから何なの?」って感じ。
天下の三菱の出発点だぜ。もう少しキチッと整備しようや。


野良時計の近くに、かつての武家屋敷跡があります。あくまで「跡」です。
残っているのは白壁の土塀や生垣。この地方独特なのか、石積みや破れ瓦積みの塀。それもごく一部分。
土塀や竹垣に囲われているのは、ツーバイフォーの近代的住宅。
一軒だけ当時の武家屋敷が現存しているが、管理が行き届いているという雰囲気ではない。荒れるに任せてるって感じで、「見たければどうぞ」といった風。
それもどうなんだ?


何だかすべてにおいて空振った感じの散策でした。と同時に、「観光って、そして観光政策って何だろう?」と考えさせられた散策でもありました――それは大げさか?
あの……僕の期待が大きすぎたんでしょうか……

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