背中合わせの明治・大正 ―大洲―

宇和から大洲までは特急で20分あまり。
うわ! アンパンマン列車や!!
車両側面では食パンマンさまが空を飛び、ドキンちゃんが微笑んでます。車内の天井でもカレーパンマンが宙を舞い、バイキンマンが何か企んでます。
ちょっと恥ずかしいです。
検札のスタンプもアンパンマンです。
案外恥ずかしいです。
車内アナウンスのチャイムも「アンパンマンのテーマ」です。
結構恥ずかしいです。
さぁさぁ、列車は間もなく大洲に着きますよ。気を引き締めて旅を続けましょう。愛と勇気だけを友達に(笑)

画像JR大洲駅から大洲城・大洲の町並みへは、駅前通りをまっすぐ国道56号線まで出て、そこから南へ向かいます。
徒歩で片道25分ほど。
便数は極めて少ないけどバスに乗るか、あきらめてタクシーに乗った方が得策です。
肱川橋を渡って、右へ行くと大洲城、左へ折れると明治・大正の町並みです。

大洲城は別名「比志城」とも呼ばれ、大洲の街を東西に流れる肱川を見下ろす小高い山の上に建ちます。築城時期は定かではありませんが、慶長14年(1609年)に淡路・洲本から封地替えで入城した脇坂安治が、城郭として完成させたと云われています。
え? それにしては随分新しそうだ?
はい。それもそのはず、再建されたのは去年の事です。
天守閣は明治21年まで現存していましたが、維持費が嵩むとの理由で解体を余儀なくされました。本丸跡に残されたのは、右の台所櫓(現在は玄関になっています)と左の高欄櫓のみでした。廃藩置県に伴なう破却解体を免れたというのに、維持できない為に取り壊されるとは……
世の無常を感じますなぁ。
で。あまりにあまりにもだってんで、市制50年を記念して昨年9月に復元された訳です。築城当時の木組模型が残っていた事も幸いして、木造4層4階の見事な雄姿が復活を遂げたのです。
今時分なら普通、鉄筋コンクリートでちゃっちゃと作っちゃうもんですけどね。大阪城がいい例でしょ。中にエレベーターまで設えちゃって。
館内には大洲城の歴史と、復元に際する資料が展示されています。最上階には鯱も展示されています。全体に展示物は少なく、まだまだこれからといった感じでしょうか。それでも真新しい白木の柱が清々しく、築城当時の雰囲気を感じ取る事が出来ました。

画像お城から歩いて5分ほどでしょうか。国道56号線を渡って住宅街を少し行くと、左手に赤レンガ造りの洋館が見えてきます。明治34年に大洲商業銀行として建てられた『おおず赤煉瓦館』です。
イギリス積みの煉瓦構造の建物ですが、屋根は瓦葺で鬼瓦までデンと構えるという和洋折衷。
う~ん。レンガ造りと聞いただけで、明治のぬくもりを感じてしまうのは何故なんでしょう。
あ、ちなみにイギリス積みというのは、レンガを縦横一段毎に組み替えて積んでゆく方法です。それに対し、横一列の向きで積み上げてゆくのをフランス積みと呼びます。なので、イギリス積みはレンガがモザイクのように、フランス積みは規則正しく整然と並んで見えます――以上、讃岐屋ワンポイント講義でした。
館内は一部喫茶店になっており、あとは展示ギャラリーとして利用されています。
この日はちょうど「なつかしのシネマコレクション展」の最終日でした。映画黎明期から全盛期、現在に至るまで活躍したシネカメラがずらりと並び、編集機や撮影機も展示されています。映画とテレビの差はあれど、一応は映像に携わる人間ですからね、こういうのにはちょっと心惹かれるものがあるんですよ。それに、男の子って機械いじりが好きですし。(40過ぎの男に「男の子」って言うな!) 
2階は、昭和30年代の日本の青春映画のポスターがずらりと展示されてました。〝総天然色〟なんて言葉が紙面に踊り、小林旭や石原裕次郎、天地茂、坂本九なんかが、時にニヒルに時に爽やかに笑っておられましたよ。写真なんか一切使ってないのに、その方が味わい深いのは何故なんでしょう。

『おおず赤煉瓦館』の裏手には、〝ポコペン横丁〟と名付けられた、村祭りの市のような小屋が並びます。土日が開催日なんでしょうか、今日はお休みでした。その奥に、土蔵を改造した『思い出倉庫』というのがあります。
中に入ると……うわ、こういうの好きやぁ。昭和30年代の街並です。駄菓子屋兼業の雑貨屋があったり、薬屋があったり、床屋があったり。当時の一般家庭を再現したコーナーもあります。モザイクタイル貼りの流し台や茶の間に置かれた卓袱台なんか、もう涙ものですよ。
そして圧巻なのは、映画館を模した展示ホールのコカコーラ・コレクション! ポスターやノベルティ製品はもとより、昔の自販機があったり、配送のニィちゃんが着てた歴代のユニフォームがあったり。
「レギュラー1本60円」そうそう、昔ってそれくらいだったよねぇ~、なんて。
うわぁ、もぉ出たくねぇ~。
画像

通りを一本挟んだ先には、江戸・明治の頃からの町屋の佇まいを残す『おはなはん通り』が続きます。「NHK連続テレビ小説」でも取り上げられた、おはなはん――浅尾はなという女性は、この界隈で生まれ育ったそうです。
だから何なんだ?、て感じの路地です。漆喰の建物はところどころ剥げ落ちて穴が剥き出しだったり、埋めた壁も土色そのままだったり。ちょっとガッカリです。わざわざ期待して見るまでもないか、と。
ただ思うのは、ただ昔の街並を保存してるんじゃなく、ここで人々は今も暮らしてるんだ、と。
そういった点では、過去の中で暮らしてる、今の暮らしの中に過去は生きている――といった感じでしょうか。

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    Excerpt: 京王デパートの駅弁大会で買った、高松駅の駅弁「新アンパンマン弁当」です。これはもう、写真をご覧いただくのが一番ですね。 ※写真は、クリックすると大きくなります。 Weblog: すくすく日記 racked: 2006-01-26 06:36